AWS ではお客様がコードを変更することなく、レガシー Windows Server アプリケーションから Windows Server のサポートされている最新バージョンに AWS で移行できるように支援します。多くの組織では、レガシーアプリケーションを移行するのに頭を悩ませています。その理由としては、古くてサポートされていないオペレーティングシステム (OS) への複雑な依存関係がある、社内の専門知識が限られている、インストールメディアやソースコードを使用できない、などが挙げられます。さらに、これらのアプリケーションに対する延長サポートは単なる延命策に過ぎず、不可避であるサポート終了の問題を解決できません。AWS では、このような課題に対処するために、Windows Server 向けサポート終了移行プログラム (EMP) を用意しています。
Windows Server 向け EMP では、ツールを併用します。Windows Server 2003、2008、2012で実行されているレガシーアプリケーションを AWS で Windows Server の最新のサポートされているバージョンに移行します。リファクタリングは不要です。EMP ツールは、アプリケーションを基盤となる OS から切り離し、重要なアプリケーションを新しいサポート対象バージョンの Windows Server on AWS に移行できるようにします。 お客様は、セルフサービスオプションとして、または AWS パートナーもしくは AWS プロフェッショナルサービスのサポートを受けて、EMP ツールを自由に使用できます。ツールをご自身で使用することをご希望のお客様のために、ユーザーガイドもご用意しています。
EMP のツールでは、アプリケーションと古い OS の間に存在する依存関係を特定し、アプリケーションに必要なリソースを含むパッケージを作成して、Windows Server の新しいバージョンで実行します。パッケージには、アプリケーションファイル、ランタイム、コンポーネント、デプロイツールのすべてに加えて、API コールをアプリケーションからパッケージ内のファイルにリダイレクトするエンジンが含まれています。これにより依存関係が解決され、基盤となる OS からアプリケーションが切り離されます。これで、パッケージ化されたアプリケーションを Windows Server の今後のバージョンで実行できるようになります。つまり、次回、Windows Server のサポート終了が生じても、アプリケーションのアップグレードについて心配する必要はありません。AWS にアクセスすると、これらのアプリケーションの運用とコストを引き続き最適化し、Windows ワークロードのモダナイゼーションについてさらに詳しく検討できます。
利点
レガシーアプリケーションを将来も使用し続ける
アプリケーションをサポートされていない Windows Server の基盤オペレーティングシステムから切り離すことで、定期的なサポート終了からアプリケーションを保護します。つまり、次のサポート終了時には、アプリケーションを Windows Server の最新のサポートされているバージョンに移行して実行するのみです。コードの変更は必要ありません。
リスクを削減
パッケージ化されたアプリケーションを Windows Server のサポートされているバージョンで実行する際、古いバージョンでは利用できない最新のパッチとオペレーティングシステム全体のセキュリティの改善が事前に提供されます。これにより、アプリケーションを古いオペレーティングシステムの脆弱性から保護できます。
コストと複雑さを削減
通常、レガシーアプリケーションを Windows Server の最新のサポートされているバージョンに移行するにはリファクタリングが必要になります。リファクタリングは、レガシーアプリケーションに対する社内の専門知識が限られていると、コストがかかる複雑な作業になってしまいます。Windows Server 向け EMP では、Windows Server の新しいバージョンとの互換性が確保されているため、アプリケーションのリファクタリングは必要ありません。 今後は、ツールをセルフサービスオプションとして無料で使用するか、EMP ツールを使用してアプリケーションの AWS への移行を促進するために有料でエキスパートを関与させるかを選択できるようになりました。
幅広いアプリケーションで機能
Windows Server 向け EMP では、レジストリ、ライブラリ、その他のファイルなど、古いバージョンのオペレーティングシステムとの依存関係が強いアプリケーションなど、非常に複雑なアプリケーションでもサポートします。Windows Server 向け EMP では、インストールメディアまたはコードを使用できるかどうかに関係なく、アプリケーションのアップグレードを支援します。
仕組み
注目のお客様事例
IHS Markit は、英国を拠点とする Fortune 500 の大手情報サービス企業です。
広範な移行の一環として、IHS Markit は、レガシーの Windows サーバーに対処する方法を理解するために、AWS と契約しました。当時 IHS Markit は、Windows 2003 で稼働していた Microsoft Dynamics Great Plains ERP のレガシーバージョンを、よりモダンなバージョンの Windows Server にリプラットフォームすることに苦労していました。AWS はこの問題を解決するために、End-of-Support Migration Program (EMP) を推奨しました。EMP ツールを使用し、AWS パートナーである Cloudhouse がお客様と協力して、アプリケーションのソースコードを変更することなく、またエンドユーザーエクスペリエンスに影響を与えることなく、アプリケーションのパッケージ化を行いました。パッケージングプロセスが完了した後、お客様は Windows 2019 サーバーで Great Plains ERP が動作する Amazon マシンイメージ (AMI) を受け取りました。AWS にデプロイされた完全に機能するアプリケーションにより、IHS Markit は、パフォーマンスの向上や、新しいバージョンの Microsoft Office を実行する能力を備えたエクスポート機能の復元など、さらなる利点も見出しました。
V/Line は、オーストラリアを拠点とする公共交通機関で、30 年以上にわたりビクトリア州の地域にサービスを提供しています。
V/Line は、Microsoft の技術的負債を減らし、サポート終了アプリケーションのセキュリティ体制を強化するための取り組みの一環として、AWS を利用して Microsoft Dynamics AX のレガシーバージョンを移行しました。このアプリケーションは Windows Server 2003 で動作しており、お客様は AWS クラウドでサポートされている最新の Windows Server にリプラットフォームすることを望んでいました。End-of-Support Migration Program (EMP) ツールを使用し、アプリケーションのソースコードを変更することなく、またエンドユーザーエクスペリエンスに影響を与えることなく、アプリケーション全体をパッケージ化しました。EMP の実施後、パッケージ化されたアプリケーションは AWS の Windows Server 2019 プラットフォームへのデプロイに成功し、V\Line はレガシーサーバーを廃止することができました。
その他のリソース
サポートが終了した Windows Server アプリケーションを将来も使用し続けるための、AWS の新しいプログラム
しばらく職務に従事していると、ビジネスに不可欠なレガシー Windows Server アプリケーションがあり、Windows Server の最新のサポートされているバージョンに移行できない状況に陥ることがあるかもしれません。
AWS EMP テクニカルホワイトペーパー
メディアが利用可能なときに、EMP でレガシーアプリケーションをパッケージ化して移行する方法については、この動画をご覧ください。