品質指定可変ビットレート (QVBR)

品質指定可変ビットレート (QVBR) とは

従来の固定ビットレート (CBR) および可変ビットレート (VBR) の制御モードに存在した欠点に対処するため、AWS Elemental ではコンテンツに合わせて VBR ビットレートを制御する品質指定可変ビットレート (QVBR) を開発しました。

QVBR では、動画ソースに含まれるすべてのマクロブロック、フレーム、シーンが分析され、情報の違いに合わせて自動的にビットが割り当てられます。複雑な動画セグメントには高いビットレートが使用され、あまり複雑でない動画セグメントには低いビットレートが使用されます。

結果として、QVBR は、ビットの無駄を最小限に抑えながら一定の動画品質を保てるよう動画ビットレートをスケールする、可変ビットレート制御の強化版になりました。

QVBR ビットレートによって動画プロバイダーは以下のような節約とメリットを実現できます。

  • 動画出力ビットレートを最大 50% 減少
  • 動画コンテンツのストレージと配信のコストを節減: ビットを無駄に使用しない
  • AWS Elemental のエンコードソフトウェアとメディアサービスを追加料金なしで使用できる
  • 簡単操作: どのようなタイプのソースコンテンツでも設定を 1 つ選択するだけ
  • クイックスタート: プレイヤーの変更は不要
  • エンコーダーに組み込み: レイテンシーや追加の分析パスは不要
  • マルチコーデック: AVC を使用するか、HEVC を選択してさらに圧縮節減
  • ライブ動画 (イベントや 24 時間 365 日チャンネル) と VOD アプリケーションに使用可能: ブロードキャスト、OTT、ストリーミング、ダウンロードなど
  • 同一 ABR セット内で CBR、VBR、QVBR レンディションを自由に組み合わせ可能
  • 動画エンコードの効率と品質の劇的な向上を体感
  • 顧客は優れた視聴体験を安定して楽しめる

設計の検証: AWS re:Invent で QVBR をテスト

毎年、世界中の視聴者が re:Invent の基調講演をライブストリーミングで楽しみます。ほとんどの大規模ライブイベントと同様、AWS では大切な情報を伝えるため、高品質なビジュアル、製作ツール、アートワークに資金を投じています。巨大な画面に表示される基調講演のプレゼンテーションには、何千人もの出席者がその場で注目し、さらに多くの人がライブストリーミングで視聴します。そのため、視聴者が映像を十分に楽しめることが必要です。

re:Invent 2018 において、チームはライブストリーミングを QVBR に切り替え、AWS Elemental と AWS のサービスを使用することで、さらにシームレスな視聴体験を大幅に低いコストで実現できました。どれほど引き下げられたのでしょうか。

2018 年に基調講演をライブで視聴した人は前年より大きく増加しましたが、ストリーミング料金の総額の下げ幅は 20% を超えました。

それで、AWS が QVBR を使って re:Invent でのライブストリーミングの出費を節減できたのであれば、お客様もストレージと配信のコスト節減と一定の動画品質維持の両方が求められている場面で QVBR を使用できます。

詳細: AWS イベントテクノロジーチームのエキスパートから、QVBR をライブやオンデマンドの動画に使用する方法適切な QVBR 品質レベルを選択する方法といった技術的なヒントが得られます。

QVBR 動画の品質、パフォーマンス、コストについて、お客様はどのように話していますか?

MediaLive の QVBR だけで、一貫した品質のストリームを確保するために必要に応じてビットレートを簡単に調整できるため、ストレージとCDNデータ転送コストを大幅に節約できました。高速トランスコーディングもまた、ビデオ処理を大幅にスピードアップしました。たとえば、ソースコンテンツのトランスコードに 25 RTS を使用すると、45 分もかかりません。全体として、AWS Media ServicesAmazon CloudFront の柔軟性を気に入っています。クラウドで迅速にスケーリングできるためです。これは、視聴者とコンテンツライブラリが拡大し続けるときには重要です。」

Manish Verma、SonyLIV 最高技術責任者

 

「私たちはすべてのお客様がデジタルエクスペリエンスに満足してもらいたいと思います。それこそが MediaConvert で QVBR を愛する理由です。帯域幅に関係なく、学生がデバイス間で高品質で低遅延のエクスペリエンスを得るという自信を与える一方で、トランスコーディングを簡素化し、コストを節約します。」

Bill Binkiewicz、Gale (Cengate のライブラリ・研究ビジネスユニット) ソフトウェアエンジニアリング担当倍すプレジデント

 

「AWSは、品質とコストの面で最高の価値を提供するだけでなく、拡張に必要な俊敏性も備えているため、それを中心にパイプラインを構築しました。パイプラインを簡単に監視して変更できるため、時間を大幅に節約できます。特に、MediaConvert は大量のビデオのセットアップ、整理、およびトランスコードの方法を簡素化および高速化することで、作成および配信するコンテンツの量に簡単に対応できるようになりました。」

Coleman Greene、Cengage クラウド運営担当マネージャー

 

「QVBR はオフラインコンテンツからモバイルアプリにペイロードのサイズを大幅に縮小しました。ファイルサイズを簡単に縮小できるため、ユーザーがクラスをストリーミングしているときに、不必要な帯域幅を使用せずに一貫した高品質の視聴体験を得ることができます。」

Baxter Farabaugh、Glo クラウドアーキテクト兼 DevOps エンジニア

QVBR で動画品質のどのような問題を解決できるか

エンコードにおいて品質を最も重視する動画の場合、一定の動画品質を実現し、処理において無駄なビットを出さないよう設計されている品質指定可変ビットレート (QVBR) 制御が簡単かつ確実な方法です。

言い換えれば、動画品質要件は高いものの、帯域幅予算は低い場合に QVBR を使えばその両方のニーズを満たせます。QVBR は AWS Elemental ソフトウェアに含まれ、追加ライセンス料金はかかりません。

動画の品質要件を満たすことは継続的な課題です。エンコードされた動画に含まれる情報は本質的に可変です。コンテンツやシーンによって各動画フレームが伝える情報の量はさまざまに異なります。QVBR は、その違いに合わせてレートを自動的に制御することで、動画の複雑さのために動画品質が変動してしまう問題を解決します。

QVBR なら、「ビット予算」の予測や管理に伴う不満も解消できます。動画のシーンが複雑になれば、必要な動画品質レベルを維持できるよう QVBR によってビットが消費されます。動画品質レベルに到達すると、QVBR によってビットの使用が節約されます。

このプロセスにおいて、CDN の送信とストレージの割り当てに必要とされていたコストも、QVBR によって最大 50% 節減できます。

QVBR によって動画品質の不均衡は過去のものになります。AVC および HEVC コーデックがサポートされ、最もコスト効率に優れた手法で視聴者に安定した視聴体験を提供することが可能になります。

品質指定可変ビットレートによって動画品質がどのように向上するか

固定ビットレートの課題

固定ビットレートが動画品質に及ぼす影響:

  • 動画品質要件が既に満たされ、使用する必要のないところでビットを使用する
  • 必要なところでビットが不足し、動画品質が下がる
  • コンテンツタイプに応じて異なるビットレートを選択する必要がある
  • 最善の結果が得られる値を推測しながらビットレートを選択する必要がある

可変ビットレートが動画品質に及ぼす影響:

  • 動画品質から見て不要な場合でも、エンコーダーが平均ビットレート到達に必要なビットを使用してしまう
  • アセットごとに平均ビットレートを選択する必要がある
  • 平均対ピークの比率選択がわかりにくい
  • コンテンツタイプごとに設定を変える必要がある
  • エンコードを複数回繰り返してアセットに必要な最低ビットレートを算出しない限り、最適なビット節約を実現できない

QVBR: ビットを無駄にしない = ビットを大幅に節約

QVBR により動画品質がどのように向上するか

  • さまざまな種類のコンテンツやシーンに合わせて自動的に調整される可変ビットレート制御
  • エンコーダーによって実際の量子化が自動的に調整される
  • AQ、MD、RC などの知覚符号化向けに作成された統計を基に構築されている
  • 品質レベルに達するとビット使用を節約する (不要なビットは使用しない)
  • シーンが複雑になると使用ビットを増やして品質レベルを維持する

QVBR の動画品質のメリット

  • コスト削減: CDN 出力の転送量とストレージが 10%~50% 以上減少 (動画コンテンツによる)
  • 動画品質 (VQ) の安定性向上: コンテンツ全体の均一性を維持し、複雑なシーンのみにピーク用の高ビットレートを使用
  • AVC および HEVC コーデックのサポートで、圧縮効率のさらなる向上を実現
  • 簡単操作: コンテンツベースのビットレート選択は不要。代わりに、固定された動画品質レベルと最大ビットレートを設定 (接続状態やデバイス要件による)。あとはエンコーダーにお任せ
  • パフォーマンスを落とさずに、同じレベルの密度を維持
  • ライブ動画用の 1 パスエンコード (または高速ターンアラウンドの VOD エンコード) と、さらに処理することができる 2 パスエンコードの両方に対応
  • 追加ライセンス料金なしで優れた動画品質保証ツールを使用可能

QVBR で動画品質を簡単管理

  • アップグレードして有効化すれば、節約の効果と動画品質の向上を即座に体感
  • AWS Elemental の動画品質が引き続き向上することで、動画品質をブーストし、同一またはさらに低いビットレートでも視聴体験を向上できる新機能を使用可能
  • 多様なアプリケーション内でのライブと VOD の両方のワークフローに有用
  • 安定した高品質の動画を生成し、容量を節約して転送とストレージのコストを削減し、簡単に設定することが可能
  • AWS Elemental では独自の符号化アルゴリズムを開発しているため、動画品質の機能はソフトウェアの一部であり、外部ツールや処理は不要
  • フレームごとに適合して動画品質を維持
  • 従来: フレームごとに最高の動画品質。今後: ユーザーが選択した動画品質仕様に基づいて使用するビットを最小化

品質指定可変ビットレート (QVBR) エンコードのデモ

動画品質 + コストで優位に立てます。AWS Elemental の品質指定可変ビットレート制御なら、品質に合わせて動画エンコードのビットレートを設定でき、プロセスにおいてストレージと配信のコストを最大 50% 節約できます。QVBR のセットアップ、設定、使用がどれほど高速で簡単なのか、このデモンストレーションをご覧ください。 

品質指定可変ビットレート (QVBR) エンコードのデモ [11:23]

開始方法

販売およびアーキテクチャ部門からのコンサルティングにより、お客様のご利用開始をお手伝いします。または、お客様が今すぐご自身でパイロットを開始することもできます。