Amazon S3 マルチリージョンアクセスポイント

AWS リージョン全体でレプリケートされたデータセット間のコンテンツ転送とフェイルオーバーを高速化

概要

Amazon Simple Storage Service (S3) Multi-Region Access Points は、AWS リージョン間で Amazon S3 リクエストのトラフィックをルーティングするためのグローバルエンドポイントを提供します。各グローバルエンドポイントは、Amazon Virtual Private Clouds (VPC)、AWS PrivateLink を介したオンプレミスデータセンター、パブリックインターネットからのトラフィックを含む複数のソースからの Amazon S3 データリクエストトラフィックを、個別のエンドポイントで複雑なネットワーク設定を構築することなくルーティングします。AWS PrivateLink の S3 Multi-Region Access Point への接続を確立することで、VPC ピアリング接続を設定することなく、シンプルなネットワークアーキテクチャと設定を使用して、AWS に、またはプライベート接続を経由して複数の AWS リージョンとアカウントで、S3 リクエストをルーティングできます。

Amazon S3 Multi-Region Access Points のフェイルオーバーコントロールを使用すると、単一のグローバルエンドポイントを通じてすべての S3 データリクエストのトラフィックをルーティングし、AWS リージョン間の S3 データリクエストのトラフィックのシフトをいつでも直接制御できます。計画的または計画外のリージョンのトラフィック中断時に、フェイルオーバーコントロールにより、異なる AWS リージョンとアカウントのバケット間のフェイルオーバーを数分で制御することができます。

仕組み

  • S3 マルチリージョンアクセスポイント
  • 仕組みの図表 – S3 マルチリージョンアクセスポイント

    Amazon S3 Multi-Region Access Points は、AWS Global Accelerator に基づいており、ネットワークの輻輳やリクエストを実行しているアプリケーションの位置などの要素を考慮し、AWS ネットワーク上でリクエストを最も近いデータコピーに動的にルーティングします。S3 Multi-Region Access Point を通じてルーティングされるパブリックインターネットソースの Amazon S3 データリクエストは、パブリックインターネット経由で S3 にルーティングされるリクエストと比較して、パフォーマンスが最大 60% 高速化される場合があります。これにより、単一リージョンで使用されるのと同じシンプルなアーキテクチャでマルチリージョンのアプリケーションを構築し、それらのアプリケーションを世界のどこでも実行することができます。

    アクティブ/アクティブ構成では、S3 マルチリージョンアクセスポイントのグローバルエンドポイントに対して行われたリクエストは、AWS グローバルネットワークを介して、最も近い S3 バケットにルーティングされます。これによりアプリケーションは、パブリックネットワークの混雑したネットワークセグメントを自動的に回避して、アプリケーションのパフォーマンスと信頼性を改善します。

    たとえば、バージニア、アイルランド、ムンバイの各リージョンで、基礎となるバケットを持つ S3 マルチリージョンアクセスポイントを設定できます。その後、バージニア、アイルランド、ムンバイ間のレプリケーションルールを一元的に設定できます。S3 マルチリージョンアクセスポイントは、AWS リージョン間でクライアントのリクエストを最も低レイテンシーで S3 バケットに動的にルーティングします。この設定により、北米のお客様はバージニアにルーティングし、アジアのお客様はムンバイにルーティングする可能性が高くなります。複製されたデータセットに AWS ネットワーク経由でネットワークレイテンシーが最も低い S3 バケットに動的にルーティングすることで、アプリケーションリクエストはパブリックインターネットの混雑したネットワークセグメントを回避し、パフォーマンスと信頼性をを改善します。

    S3 マルチリージョンアクセスポイントの詳細については、ユーザーガイドを参照してください

  • フェイルオーバーコントロール
  • フェイルオーバーコントロールの HIW 図

    S3 マルチリージョンアクセスポイントのフェイルオーバーコントロールにより、S3 マルチリージョンアクセスポイントをアクティブ/パッシブまたはアクティブ/アクティブ構成で運用することが可能です。アクティブ/アクティブまたはアクティブ/パッシブのいずれの構成でも、S3 マルチリージョンアクセスポイントでは、単一のグローバルエンドポイントを通じて異なる AWS リージョンの S3 バケットにアクセスするためのシンプルなアプリケーションアーキテクチャを維持しながら AWS のグローバルインフラストラクチャを利用することができます。

    アクティブ/パッシブ構成では、お客様はすべての S3 リクエストを処理するアクティブ AWS リージョンとアカウント、計画的または計画外のフェイルオーバー時にアクティブになったときのみデータがルーティングされるパッシブ AWS リージョンとアカウントを指定します。

    たとえば、別のAWSアカウントで所有されているバージニアとオレゴンの AWS リージョンにある基礎となるバケットで S3 マルチリージョンアクセスポイントを設定し、1つのAWSアカウントによって所有されバージニアリージョンがアクティブでオレゴンリージョンがパッシブであるようにすることができます。S3 マルチリージョンアクセスポイントを経由するすべてのトラフィックは、バージニアにルーティングされます。S3 マルチリージョンアクセスポイントは、その後、バージニアリージョンにのみ S3 クライアントのリクエストをルーティングします。そして、バージニアとオレゴンの間でレプリケーションルールを一元的に設定し、バケット内の一部または全部のデータを双方向に複製して内容を同期させることができます。その後、S3 Multi-Region Access Point を使用している S3 クライアントやアプリケーションを変更することなく、2 分以内に S3 データのアクセスリクエストトラフィックをオレゴンリージョンのバケットにシフトするフェイルオーバーを開始できます。

概要の動画: S3 マルチリージョンアクセスポイント

Amazon S3 マルチリージョンアクセスポイントの詳細な概要をご覧ください。これにより、複数の AWS リージョン全体でレプリケートされるデータセットにアクセスする際、パフォーマンスが最大 60% 加速します。 

利点

Amazon S3 マルチリージョンアクセスポイントは、マルチリージョンアプリケーションを加速します。AWS Global Accelerator を介してレプリケートされたデータセットに S3 リクエストを動的にルーティングすることで、S3 マルチリージョンアクセスポイントはリクエストのレイテンシーを低減し、アプリケーションを最大 60% 速く実行します。
S3 Multi-Region Access Point のグローバルエンドポイントに対して行われたアプリケーションリクエストは、 AWS グローバルネットワークを介して、ネットワークレイテンシーが最も低い S3 バケットに自動的にルーティングされます。これにより、単一のリージョンで使用するのと同じシンプルなアプリケーションアーキテクチャを使用してマルチリージョンアプリケーションを構築し、それらのアプリケーションを世界中のどこでも実行できます。
Amazon S3 マルチリージョンアクセスポイントのフェイルオーバーコントロールにより、異なる AWS リージョンにあるバケット間のフェイルオーバーを制御できます。リージョントラフィックの中断に対するアプリケーションの回復力をテストし、アクティブとパッシブのリージョンを数分以内に切り替えることができます。
Amazon S3 Multi-Region Access Points のフェイルオーバーコントロールは、レプリケートされた S3 データのパッシブな二次および三次コピーのために Amazon S3 Intelligent-Tiering ストレージクラスとうまく連携します。Amazon S3 Intelligent-Tiering は、パフォーマンスに影響を与えることなく、データアクセスのパターンに基づいてストレージコストを自動的に削減します。これは、ほとんどアクセスされないデータのパッシブな二次コピーに最適です。その後、AWS リージョン間でフェイルオーバーが開始され、パッシブリージョンのコピーがアクティブになると、アクセス頻度の低いデータのコピーとやりとりするための追加の検索料金は発生しません。
S3 マルチリージョンアクセスポイントは、専用のアクセスポリシーと S3 レプリケーションルール、AWS リージョン間のフェイルオーバー、ネットワークルーティングを一元管理する Amazon S3 用のグローバルエンドポイントを提供します。S3 コンソールでは、S3 マルチリージョンアクセスポイントは、マルチリージョン S3 デプロイのための基礎となるレプリケーショントポロジー、レプリケーションメトリクス、およびリクエストルーティング設定のフェイルオーバーコントロール管理の一元的な表示を示します。これにより、マルチリージョンアプリケーションの S3 データリクエストトラフィックのストレージを構築、管理、およびモニタリングするためのさらにシンプルな方法が提供されます。

ユースケース

Amazon S3 Multi-Region Access Points のフェイルオーバーコントロールにより、AWS リージョン間の S3 データリクエストのトラフィックのシフトを制御し、S3 のトラフィックを中断から数分でリダイレクトできるため、より可用性の高いアプリケーションを構築するのに役立ちます。フェイルオーバーコントロールを使用すると、S3 Multi-Region Access Points をアクティブ/パッシブ構成で運用し、フェイルオーバーを開始して、S3 データリクエストのトラフィックを、選択した別の AWS リージョンに数分でシフトできます。

アプリケーションの障害シナリオテストとディザスタリカバリシミュレーションを実施するために、リージョンレベルのトラフィックの中断に対するアプリケーションの回復性をテストします。S3 Multi-Region Access Point のグローバルエンドポイントを通じて、S3 データリクエストのトラフィックをアクティブな AWS リージョンからパッシブな AWS リージョンに数分で簡単にシフトできます。

パブリック EC2 インスタンス、インターネットゲートウェイ (IGW) を使用する EC2 インスタンス、S3 に接続してリクエストを高速化する必要があるオンプレミスなどのクライアントは、S3 Multi-Region Access Point を使用してアプリケーションとネットワークアーキテクチャを簡素化できます。これらのリクエストは、AWS グローバルネットワークを経由してルーティングされた後、リージョン内の S3 に戻され、パブリックインターネットを経由することなく、最もレイテンシーの低い AWS リージョンに送られます。

S3 マルチリージョンアクセスポイントの使用を開始する

Amazon S3 API、CLI、SDK、またはS3 コンソールを使用して、S3 Multi-Region Access Points を開始できます。S3 コンソールは、S3 Multi-Region Access Points、S3 クロスリージョンレプリケーションルール、および AWS VPC 接続 (AWS PrivateLink を含む) を設定するためのガイド付きワークフローを提供します。

S3 コンソールでは、Amazon S3 Multi-Region Access Points は、基礎となるレプリケーショントポロジー、フェイルオーバーコントロール、レプリケーションメトリクス、およびリクエストルーティング設定の一元的なビューを表示します。これにより、マルチリージョンのアプリケーションのストレージを構築、管理、およびモニタリングするためのさらに容易な方法が提供されます。

S3 マルチリージョンアクセスポイントは、3 つの簡単なステップで設定できます。まず、自動生成された S3 マルチリージョンアクセスポイントのエンドポイント名を受け取り、そのエンドポイントにクライアントを接続できます。次に、リクエストをルーティングする既存の S3 バケットを選択するか、新しい S3 バケットを作成します。3 つ目に、バケットに適用する S3 クロスリージョンレプリケーションルールを指定します。その後、S3 は自動的に新しいマルチリージョンの設定を作成および設定します。または、AWS CloudFormation を使用して、S3 Multi-Region Access Points の作成と設定を自動化できます。 

利用を開始するには、S3 Multi-Region Access Points 開始方法のチュートリアルおよびユーザーガイドにアクセスしてください。