Aioi Nissay Dowa Insurance Services USA, AWS でテレマティクス車両のデータを処理し、低コストでドライバーの安全性を向上
2021年
テクノロジー活用型保険代理店の Aioi Nissay Dowa Insurance Services USA (AIS) は、コネクテッドカーが自動車業界の次のフロンティアだと知っています。クルマがより多くのデータを収集していくと、AIS のような企業は、データをより効率的に処理してサービス改善や安全運転ドライバーのコスト削減を実現できます。AIS は、車両やテレマティクスデバイスからデータを収集し、そのデータを単一のプラットフォームで処理する方法を追求することで、データを使った、保険向けの運転リスク分析を可能としています。
オンプレミスのインフラは、そうしたプロジェクトに求められる柔軟性や拡張性に欠けると認識していた AIS は、アマゾン ウェブ サービス (AWS) に注目しました。標準 SQL で Amazon S3 にあるデータを容易に分析できる、インタラクティブなクエリサービス Amazon Athena などを使用して、生産性向上とコスト削減を追求しました。
膨大なデータを処理するために
AISは、グローバルに展開し37の国と地域でトヨタ保険を提供するあいおいニッセイ同和損害保険(MS&ADグループ)の子会社であり、交通分野向けにデータサイエンスを基盤とした商品やサービスを開発するフルサービスの「インシュアテック」保険代理店です。クルマからセンサー、携帯電話、カメラなどを介してより多くのデータや情報を得られるようになる中、そうしたデータや情報を保険目線でより役立つものにする方法を模索し、独自のエッジコンピューティングソフトウェア 「Mobility on the Edge in Real-Time (MOTER)」の開発に至りました。これはテレマティクスとコンピュータビジョンを活用して、ドライバーの運転リスク分析と保険のリスクと安全性の評価を行えます。自動車部品メーカーとハードウェアの共同研究を行うなど、AISは車からのデータインフラ構築に多くの労力を費やしてきました。一方ソフトウェア開発の面では、データを処理して運転リスクを評価するための効率的な手段が必要でした。
AISのデータ処理は、車両から生成されるさまざまな種類と膨大なデータを、同社のデータエンジニアとデータサイエンティストからなるチームに送信するところから始まります。このチームは急ブレーキや、一時停止違反、あおり運転などのリスクが示すデータ上の特徴を見つけ出しますが、これによって優良なドライバーを特定し、安全運転の推進を図っています。
AISは、多くの車両のデータ処理をオンプレミスで行うとコスト負担が大きく、追加の技術サポートも必要となることを認識していました。AISではレガシーなクラウドインフラを持っていましたが、コスト負担などを考慮して AWS上に クラウドインフラを再構築し、2019 年から運用を開始しました。「AWS ではさまざまな優れた機能を利用できます」と、AISのイノベーション責任者 Michael Fischer 氏は述べています。「業界で高い認知度を誇り、文書化も十分にされていて、幅広いサポートを提供してくれます」
従来、「精度の高いデータ分析」と「コスト効率の追求」を両立するのは困難でした。そこで、自社でサーバーを持たないことを前提としたアーキテクチャの柔軟性に着目し、Amazon Athena を活用することにしました
Michael Fischer 氏
イノベーション責任者、Aioi Nissay Dowa Insurance Services USA
マネージドサービスを活用して生産性向上とコスト削減を実現
AISが役立つと実感するAWS のサービスの 1 つに Amazon Athena があります。「従来、テレマティクスデータの 『精度の高い分析』と『コスト効率の追求』を両立するのは困難でした」と Fischer 氏は述べます。「そこで、自社でサーバーを持たないことを前提としたアーキテクチャの柔軟性に着目し、Amazon Athena を活用することにしました」 AISは、大量データの処理が可能な分散処理プラットフォーム Amazon EMR を使用して、大幅なコスト削減を実現しつつ、データ処理を最適化することができました。
AISによれば、AWSのマネージドサービスの活用で生産性も向上しています。たとえば、データサイエンティストとデータエンジニアは、Amazon SageMakerに加えて、フルマネージド型のデータラベリングサービスAmazon SageMaker Ground Truthを利用することで、機械学習用の高精度なトレーニングデータセットを簡単に構築できます。また、 Amazon SageMaker Ground Truth を使って、動画アノテーションを大規模に処理する手段を開発しています。機械学習のコンピューティングリソースとして、必要に応じて、安全でサイズ変更可能なキャパシティーをクラウドで提供するAmazon EMR または Amazon EC2も利用できます。「これらサービスを活用することで生産性が大幅に向上しました」と Fischer 氏は述べます。「これらのサービスがなければ、IT部門がチームメンバーにリソースを提供してくれるのを待つしかなく、業務推進が不可能だからです。AWS はデータを追跡し、開発者にリソースを提供し、機械学習プロセスを柔軟に調整することで、多くの問題を実際に解決してくれます」
AISが次世代の保険サービス提供をめざすにあたって、AWSのマネージドサービスが機能しています。AISは交通違反歴や事故歴といった情報のみで保険料率を変えるのではなく、テレマティクスを活用してドライバーの安全性を評価することで保険コストを調整することを目指しています。「重要なのは、良い運転をする人には良いインセンティブをあげること。これによって運転はより安全なものとなります」と Fischer 氏は述べます。「AWS のサービスを使ってデータを効率的に処理し、誰の運転が安全で誰の運転がそうではないか?を分析することで、より多くの人に良い運転をしてもらえるようインセンティブを与えられます」
データ活用の展望
AISは、テレマティクス分野で多くの潜在的なユースケースにも注目しています。中期的には、ハードウェアメーカーと協力し、MOTERを既存のクルマで活用する商品開発も視野に入れており、こうした取り組みで得られる知見や技術を次世代のクルマに組み込んでいきたいと考えています。また、カーシェアリングサービスからの車両データを使用して、より安全な運転を促進する方法の開発も進めています。
AIS は将来を見据えており、AWS を開発パイプラインの重要な一部であると考えています。Fischer氏は述べます。「AWS は常にさらなる高みを目指しています。AISがより優れたツール、プロセス、およびソフトウェアを作成するために、また私たちが一緒に働く人々のために、AWSが数多くのサービスを提供してくれていることを、ありがたく感じています」
Aioi Nissay Dowa Insurance Services USA について
グローバルに展開し37の国と地域でトヨタ保険を提供するあいおいニッセイ同和損害保険(MS&ADグループ)の子会社であり、交通分野向けにデータサイエンスを基盤とした商品やサービスを開発するフルサービスの「インシュアテック」保険代理店です。
AWS の利点
- テレマティクス車両データを効率的に処理するインフラを構築手段
- データ処理コストを削減
- チームメンバーが自律的に業務をおこなえるサービスの活用で生産性を向上
- より安全な運転を奨励するためにデータを活用
AWS Services Used
Amazon EC2
Amazon Elastic Compute Cloud (Amazon EC2) は、安全でサイズ変更可能なコンピューティング性能をクラウド内で提供するウェブサービスです。ウェブスケールのクラウドコンピューティングを開発者が簡単に利用できるよう設計されています。
Amazon Athena
Amazon Athena はインタラクティブなクエリサービスで、Amazon S3 内のデータを標準 SQL を使用して簡単に分析できます。
Amazon EMR
Amazon EMR は、Apache Spark、Apache Hive、Apache HBase、Apache Flink、Apache Hudi、Presto などのオープンソースのツールを使用して膨大な量のデータを処理するための業界をリードするビッグデータのクラウドプラットフォームです。
Amazon SageMaker Ground Truth
Amazon SageMaker Ground Truth はフルマネージド型のデータラベル付けサービスです。機械学習のための高精度なトレーニングデータセットを簡単に構築することができます。
開始方法
あらゆる業界のさまざまな規模の企業が、AWS を活用してビジネスを日々変革しています。AWS のエキスパートにお問い合わせのうえ、今すぐ AWS クラウドジャーニーを開始しましょう。