Regeneron が AWS を利用して創薬に大規模なゲノミクスをもたらす

2020 年だけでも、大手バイオ医薬品企業の上位 12 社は医薬品の研究開発に 960 億 USD 超を費やしており、医薬品の開発コストは着実に増加し続けています。実験薬の大半が上市に失敗するため、承認を得て販売できるようになる新薬は毎年ほんの一握りです。成功率を高めるために、バイオ医薬品組織は医薬品の研究開発プロセスにゲノミクスを採り入れ、遺伝子データを活用して薬物反応をより良く理解しようとしています。ファーマコゲノミクスとして知られるこのプラクティスは、採用され始めて間もないですが、成功率を 2 倍に向上させています。現在、ヒトゲノムの遺伝子のうち、承認薬の標的となっている遺伝子はわずか 5% ですが、疾患に関係する遺伝子ははるかに多いとされています。

国際的なバイオテクノロジーおよび製薬企業である Regeneron は、Amazon Web Services (AWS) を利用してゲノムに関するインサイトを統合することで、創薬の加速と改善に向けた業界の取り組みをサポートしています。Regeneron Genetics Center (RGC) は、エクソーム (ヒトゲノムの遺伝子コード領域) のシーケンシングに重点的に取り組む研究イニシアティブであり、ゲノムおよび健康データを大規模に解析して、Regeneron 独自の医薬品開発プログラムや幅広い研究コミュニティで応用できる実用的な科学的結果が得られるようにすることを目的としています。

数千または数百万のゲノムを一度に解析することで、研究者は、少数の集団では明らかにならない、疾患と特定の遺伝的変異との関連を明らかにすることができます。データセットが大きく多様になればなるほど、科学的発見が幅広い患者に当てはまる確実性も高まります。これらの包括的なデータセットを世界レベルで構築するために、Regeneron は UK Biobank や AWS パートナーである DNAnexus などの組織と緊密に協力して、何百万人ものボランティアから遺伝子サンプルや健康情報を入手してきました。

Regeneron とその共同研究者は、クラウドで安全かつサイズ変更可能なコンピューティングキャパシティを提供するウェブサービスである Amazon Elastic Compute Cloud (Amazon EC2) を利用して、これらの遺伝子サンプルのエクソームシーケンシングと処理を高速化することができました。結果として得られる匿名化された健康データやゲノムデータは、オブジェクトストレージサービスである Amazon Simple Storage Service (Amazon S3) を利用して安全に保存されます。この情報を Amazon S3 で保存することで、Regeneron はオンプレミスサーバーと比較して 90% のコストを節約できます。2021 年までに、RGC は 100 万を超えるゲノムを、ローカルストレージとコンピューティングで可能だったであろう速度の 10 倍の速度でシーケンシングしました。

ゲノムデータが取得されると、AWS は Regeneron がデータに基づいて科学的発見を行うために必要な解析機能を提供します。特に、RGC は、詳細な解析プロセスである「all-by-all analyses」(オールバイオール解析) の実施においてリーダー的な地位を占めています。この解析では、膨大なゲノムデータセットを検索して、データベースに存在するあらゆる表現型と遺伝子型のすべての関連性を特定し、最終的には創薬や開発の取り組みに有益な情報をもたらします。

「オールバイオール解析によって得られた関連性の結果を示す表には、1 兆個を超える細胞が含まれています」と RGC の最高データ責任者である Jeffrey Reid 博士は述べています。「AWS クラウドインフラストラクチャの比類ないスケーラビリティがなければ、これらのインサイトに富んだ大規模な非依存の解析を行うことはできなかったでしょう」。

RGC は、さまざまな学術団体や製薬業界団体との研究協力を開始し、プロジェクトベースのカスタム解析のためにデータを利用できるようにしています。研究者は、Amazon S3 上のデータに安全にアクセスし、プロジェクトに必要なファイルを Amazon Elastic File System (Amazon EFS) を利用して管理できます。Amazon EFS は、シンプルかつサーバーレスの伸縮性の高いファイルシステムであり、一度設定すれば後はすべて自動で機能します。これを利用することで個人はファイルデータを共有でき、プロビジョニングやストレージの管理を行う必要はありません。

「AWS を利用することで、当社は両方の世界の優れた点を提供できます。すなわち、研究者は利用するインフラストラクチャ (起動するコンピューティングインスタンスなど) をより細かく制御しながら、学術的な環境と同じように研究を進めることができるのです」と Reid 氏は述べています。「データを最大限に活用するには、データへのアクセスを最大化する必要があります。これこそ、AWS を利用して当社が実現したことです。AWS のソリューションがなければ、世界中にいるこれほど多くのパートナーに、このタイムラインでこれほどの規模のデータを配信することはできなかったでしょう」。

新しいゲノム発見を加速させるには、産業界における国際的な協力が不可欠です。「当社は、複数の機関や地域をまたいで業務を推進する方法を必要としていました。これが、当社がクラウドコンピューティングに注力した理由の 1 つです」と Reid 氏は述べています。「AWS を利用することで、データを生成して世界中の共同作業者と共有し、大規模な解析を適用して、その結果を広く送信できる安全なデータサイエンスプラットフォームを提供できました」。

ゲノムデータを最大限に活用することは、サンプルや実施中のさまざまな研究プロジェクトでの表現を最大限に活用することを意味します。RGC は世界中にいる 100 名を超える共同作業者と連携して、多様なゲノムデータセットを収集しています。このデータセットにより、解析はより強力になり、結果をより広く適用できるようになります。

「当社はデータベース内の遺伝的祖先をより多様にすることに積極的に取り組んでいます。なぜなら、歴史的に欧州の祖先を中心として研究が進められてきたために、発見されていないインサイトがたくさんあることを当社は知っているからです」と Reid 氏は述べています。「AWS 上に構築することにより、将来的に精密医療とポリジェニックリスクスコアの使用を通じて、その祖先にかかわらず、あらゆる人々の治療の公平性を本当に実現するために、当社はグローバルアクセスを民主化できます」。

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